野菜の種を採る方法
- Kimie
- 2018年11月21日
- 読了時間: 6分
菜園で花を咲かせ、種をつけるところまで育てることができた野菜は、その土や気候に適応しています。種を採って育てれば、翌年には、もっと育てやすくなり美味しくなります。

市販されている種は、十分に肥料を与えられ、農薬で病害虫から守られて育ったものが多いため、無肥料、無農薬で育てはじめると、最初は、あまりうまく育たないかもしれません。そんな中から育ったものから種を採り、翌年にまいて育てる、ということを繰り返すうちに、土地に適応して病害虫にも強くなっていきます。
種を採るには「固定種」と表示されているものが適しています。
「交配種」「F1」などと表示されたものは、特定の性質のものを掛け合わせて生まれた種なので、次の世代は性質にバラつきが出ます。
また、その土地の気候に合っていることも大切なので、地元の在来種や地方品種を選ぶと育てやすいものです。
種を採りやすい野菜
1株だけでも受粉して実をつける野菜は、他の株の性質が混じらないため、種取りが容易です。ナス科、イネ科、キク科の野菜が代表的なものです。
アブラナ科、ウリ科の野菜のように、1株だけでは受粉しにくく、数本まとめて育てるような野菜は、他の品種と交雑しやすいため、ひとつの品種だけで育て、人工授粉で花を咲かせると種が採れるようになります。
●大豆、インゲン、落花生、稲、小麦、大麦は、完熟した実を、そのまま種として使えます。
●トマト、ナス、ピーマン、オクラ、レタス、春菊、シソなどは、収穫後に、種を採る株を菜園に残しておき、花が咲いて種が完全に熟すまで栽培を続けます。
●ゴボウ、ニンジン、ネギ、玉ねぎ、からし菜、高菜、ソラマメなども、収穫後に種を採る株を菜園に残しておいて、花を咲かせて種を採りますが、花が咲きにくい場合には人工授粉をします。
●ホウレンソウ、トウモロコシ、メロン、キュウリ、スイカ、カボチャ、キャベツ、ブロッコリ、カブ、白菜、大根、ライ麦、蕎麦などは1株では受粉しにくいので、同じ品種のものを数本植えておいて、種を採る株を選んで菜園に残し、花を咲かせて種を採ります。
種の取り方
1.人工授粉などで花を咲かせ、実をつけた株を葉が枯れるまで菜園で育て続けます。
2.霜が降りる前には収穫し、温かい場所に置いて十分に熟してから種を採ります。
3.水を張ったボウルに種を入れ、水に浮いた種はすくい取って捨て、沈んだ種だけボウルに取って水気を切ります。
4.種をネットに入れて、布巾などで水気を拭き取り、1週間くらい日陰で乾かしてから冷蔵庫で保存します。
5.野菜の種類や品種、種を採った日付をラベルに書いて袋につけておくと、種まきする時に分かりやすくなります。

キューリは、スプーンなどで種をこそぎ落としてボウルなどに集め、よく水洗いしてからザルに上げて水気を切り、ビニール袋に入れて1日~数日発酵させるとゼリー状の膜はほとんど取れます。
膜がついたままだと発芽しにくいため、種をネットに入れて水に浸け、こすり合わせるようにして表面を洗います。

トマトは、実を半分に切って種をもみ出し、ビニール袋などに入れて2~3日発酵させてから水洗いし、水に沈んだ種だけを取り出します。
紙などに広げて半日くらい日に干してから日陰で充分に乾燥させます。

ニンジンは、種を採る株を10~20本くらい選んで掘り起こし、横に並べて植え直してから花を咲かせます。
花が茶色くなってから、ザルなどにこすりつけると種が採れます。

カブ、カリフラワー、キャベツ、小松菜、大根、白菜、ブロッコリーといった「アブラナ科」の野菜は、虫が媒体となって花粉を運ぶので、他の品種と交雑しないよう、10本くらいを移植してネットなどをかぶせておきます。
育てやすい品種
●イチゴ(バラ科)
宝交早生、章姫
●インゲン(マメ科)
穂高インゲン、島村インゲン、モロッコインゲン
●枝豆(マメ科)
奥原早生、茶豆家早生エダマメ、黒豆系早生エダマメ
●エンドウ(マメ科)
オランダエンドウ(キヌサヤ)、ツタンカーメンエンドウ、スナップエンドウ
●オクラ(アオイ科)
島オクラ、八丈オクラ、丸オクラ、花オクラ
●カブ(アブラナ科)
みしま小カブ、聖護院大カブ、今市カブ、スワン
●カボチャ(ウリ科)
西洋カボチャ:スクナ南瓜、かちわり、ケイセブン、坊ちゃん
日本カボチャ:小菊南瓜、日向南瓜、バターナッツ
●カリフラワー(アブラナ科)
野崎早生、ロマネスコカリフラワー
●キャベツ(アブラナ科)
極早生品種、富士早生、おきな、みさき
●キュウリ(ウリ科)
バテシラズ2号、バテシラズ3号、四葉キュウリ、若緑地這、八町きゅうり
●ゴーヤ(ウリ科)
アバシゴーヤー、薩摩中長レイシ
●ゴボウ(キク科)
大浦太ゴボウ、堀川ゴボウ、葉ゴボウ
●小松菜・漬け菜類(アブラナ科)
新戎青菜、のらぼう菜、野沢菜、広島菜、ミズナ、壬生菜、高菜、からし菜、サラダ菜
●小麦・大麦(イネ科)
南部小麦、ライムギ
●サツマイモ(ヒルガオ科)
ベニアズマ、パープルスイートロード
●里芋(サトイモ科)
子イモ:大野芋、土垂、石川早生
親イモ:京芋
親子兼用:セレベス、八頭、海老芋
葉柄:蓮芋
●シシトウ(ナス科)
伏見甘長とう、万願寺甘とう、紫とうがらし
●ジャガイモ(ナス科)
アンデスレッド、キタアカリ、ハナシベツ
●春菊(キク科)
中葉春菊、大葉春菊
●ショウガ(ショウガ科)
房州、らくだ、金時、谷中、三州
●スイカ(ウリ科)
黒小玉、夢枕
●ズッキーニ(ウリ科)
コスタータロマネスカ、ゴールドラッシュ
●ソラマメ(マメ科)
秋まき:房州早生、讃岐長莢蚕豆、初姫
春まき:駒栄
●大根(アブラナ科)
地大根、打木源助大根、聖護院ダイコン、耐病総太りダイコン
●大豆(マメ科)
青バダダイズ、小糸在来、秘伝、丹波黒豆
●玉ねぎ(ネギ科)
ノンクーラー、泉州中甲高、湘南レッドタマネギ、ラッキー
●トウガラシ(ナス科)
鷹の爪、日光トウガラシ、アジメコショウ、かぐらなんばん、ハバネロ
●トウモロコシ(イネ科)
モチットコーン、黄もちトウモロコシ、味来390
●トマト(ナス科)
ミニトマト:シュガーランプ、ブラックチェリー、マッツワイルドチェリー
中玉:ピンク中玉、サンマルツァーノ、グリーンゼブラ
大玉:自生え大玉、ベルナーロゼ、麗夏
●ナス(ナス科)
早生真黒ナス、在来青ナス、小布施丸ナス、千両2号、ローザビアンカ
●ニラ(ネギ科)
大葉ニラ
●ニンジン(セリ科)
横浜改良四寸、筑摩野五寸
●ニンニク(ネギ科)
寒冷地:福地ホワイト六片、青森ホワイト六片
温暖地:壱州早生、島ニンニク
●ネギ(ネギ科)
九条太ネギ(葉ネギ)、赤根ネギ(根深ネギ)、下仁田ネギ(一本ネギ)、松本一本ネギ
●白菜(アブラナ科)
結球白菜:愛知白菜、野崎白菜、松島純二号白菜
半結球白菜:山東白菜、タケノコハクサイ、花芯白菜
非結球白菜:チンゲンサイ、タアサイ
●パプリカ(ナス科)
ミニパプリカ、レッド、スイートペッパー、セニョリータ・ゴールド
●ピーマン(ナス科)
伊勢ピーマン、バナナピーマン、カリフォルニアワンダー、浜クロピー
●ブロッコリー(アブラナ科)
ブロッコリードシコ、スティックセニョール
●ホウレンソウ(アカザ科)
春まき:西洋種、丸種ミンスター
秋冬:東洋種、日本ホウレンソウ、赤根ホウレンソウ
●ラッカセイ(マメ科)
千葉半立、郷の香、ジャワ系
●レタス(キク科)
エルワン、エルゴー、エルロック
●メロン・マクワウリ(ウリ科)
プリンスメロン、ニューメロン、南部マクワウリ
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