無農薬で育てるバラ
- Kimie
- 2018年11月6日
- 読了時間: 6分
病害虫がつきやすいバラには薬剤を散布することが多いのですが、ベランダの鉢植えで育てている場合や、ペットや子供がいる場合には、あまり薬品を散布したくありません。
少し時間はかかりますが、バラを無農薬で育てることは可能です。

「バラは だんぜん 無農薬」という本では、米ぬかを使ったオーガニック栽培について、9人のベテランガーデナーたちが、それぞれに試行錯誤を重ねた経験を教えてくれています。
冬には雪が積もるような寒冷地と、一年中あたたかい南の地域とでは、どんな植物でも育て方が違います。うまく育つ植物の種類も異なるので、バラを育てるにしても、寒さに強い品種、暑さに強い品種、という風に苗を選ぶ段階から地域の特性を考慮することも大切です。
米ぬか
米ぬかは土づくりをする時、たい肥を作る時、病害虫を予防する時、と様々に使えます。私は札幌のマンションで鉢植えのバラを育てていた時に、うどんこ病を米ぬかで除去できたことがあります。
うどんこ病は、葉や蕾が粉をふいたようになり、葉が落ちたり蕾が開かないまま枯れてしまう病気です。そんな葉や蕾に米ぬかを手で塗り付けると、きれいになくなりました。数日すると、また出てくるのですが、葉が全て落ちたり、株の全体が枯れるほどの被害は食い止められましたので、効果はあったと思います。
雑草
「雑草と育てる 無農薬でバラ庭づくり」という本では、雑草を根こそぎ引き抜いてしまうのではなく、地上部だけ刈り取って地面のマルチとして使い、雑草とバラが共生する環境を作り上げる方法が書かれています。
コンパニオンプランツとして、バラとラベンダーやローズマリー、ミントなどを一緒に植えるという方法もありますが、雑草も同じ植物。どれもこれも悪いわけではありません。繁殖力が旺盛なので、温室育ちのバラなどが負けてしまうというだけのこと。ならばバラも雑草に負けないくらいの体力をつければ、雑草ばかりがはびこることはなくなるようです。
共生
どの本にも共通して書かれているのが、バラと他の植物、土の中の微生物、地上の虫、鳥、小動物などが共生できる環境を作り上げる、という点です。そのバランスが良くなれば、薬剤を散布する必要がなく、肥料や水やりさえも最小限で済むような庭ができます。
ただ、そこまでの環境を作り上げるには、数年という時間が必要なため、多くのガーデナーは即効性のある殺菌剤や液体肥料などを使ってしまいます。
最初の1~2年ガマンして土づくり、環境づくりを整えることができれば、無農薬でバラを育てることが可能になります。
殺虫剤や殺菌剤を散布しなければ、虫や菌は発生します。けれど虫や菌の中にはバラの生育に有益なものも多いことも事実です。人間の体にとってヨーグルトなどの発酵食品が健康に良いのと同じで、植物にとっても良い菌類というのがあるのです。
生態系
地上にある落ち葉などの有機物を、微生物が分解してリン酸やカリなどの無機物に変え、それを植物が吸収して育ちます。植物が有機物をそのまま吸収することはできません。オーガニック栽培というは、有機物を与えて土の中の微生物を育てるということ。
バラに集まってくる虫にも色々な種類があり、アブラムシのように葉や茎の汁を吸って枯らしてしまうものもあれば、そのアブラムシを食べにくるテントウムシやカマキリもいます。ミツバチやアブハチのように、花の花粉を運んで開花をすすめる虫もいます。
鳥は、イモムシもテントウムシも虫なら何でも食べてしまいますが、それでも殺虫剤を散布しなくて良くなるというメリットがありますので、バードフィーダーなどを庭に設置すると効果的。
鳥のフンによって花の種が運ばれてきて、野生のバラが芽を出すということもあります。
そうした自然と循環する生態系を作ることが、無農薬でバラを栽培するポイントです。人間が手を加えるのは、咲き終わった花がらを摘んだり、フェンスなどにつるバラを誘引したり、剪定をする、といったことだけで充分な庭ができたら、バラを鑑賞したり、花びらなどを利用するという楽しいことに時間を使えるようになります。
バラを強く育てる
バラを育てて出荷するという商売や、品評会に出すのではないなら、気長に、そして雑草や虫や鳥などと共生する、のびのびとした庭づくりのほうが楽しいはず。そして、そんな環境で育ったバラは、温室育ちのバラとは違う強さと美しさを見せてくれます。
バラも、もとは野生に生えていた強い植物。その生命力を引き出してあげることが、無農薬栽培の目標です。
温室で育てられたバラの苗は、最初まだ弱々しいかもしれません。移植された環境に慣れるまでにも時間がかかります。地上部が枯れてしまっても、根が残っていれば再び芽を出しますので、あきらめずに育て続けることで、バラも強く育っていきます。
病害虫予防に使える自然素材
化学薬品を使わなくても、身近な食品や野草などで病害虫を防ぐことができます。
●牛乳 → アブラムシ退治
古くなった牛乳で構わないので、薄めず霧吹きに入れ、晴れた日の午前中にアブラムシに吹きかけます。牛乳が乾いて膜を張ると、アブラムシは窒息してしまいます。
●酢 → カビ菌の予防
食酢を20倍に薄めて霧吹きに入れ、1週間に1度くらい、病気が発生しやすい梅雨時などに吹きかけておきます。
20倍に薄めた食酢1リットルに石鹸5gを溶かして加えると、付着しやすく、効果が増し、長持ちします。
20倍に薄めた食酢に、スギナ、オオバコ、ドクダミ、ネギ、トウガラシを煎じた液を加えても殺菌効果があります。
●ビワの葉の焼酎漬け → 殺菌効果
ビワの葉を焼酎に漬けておき、3倍に薄めて霧吹きで吹きかけても殺菌効果があります。
●ニンニク → 虫よけ
ニンニク(1株)をすりつぶし、水(1リットル)を加えてから布で濾し、5倍に薄めて霧吹きで吹きかけると、虫が寄り付かなくなります。殺虫効果はありません。
ニンニク(80g)を細かく刻んで、灯油(大さじ1)を加えて24時間おき、水(1リットル)、石鹸(10g)を溶かし入れ、布で濾してから100倍に薄めて霧吹きで吹きかけると、害虫や病気を予防できます。
この液を脱脂綿などに浸して、カミキリムシが開けた穴に入れておくと効果があります。
●トウガラシ → 細菌予防
唐辛子に含まれるカプサイシンは、虫があけた穴から侵入する細菌類を防ぎます。
35度の焼酎(1リットル)、唐辛子(12本)、ニンニク(2~3個)を瓶などに入れて2カ月くらい置いてから、500倍~1000倍くらいに薄めて霧吹きで吹きかけます。バラの蕾に科かけないように注意します。3月~4月の病原菌が発生しやすい時期が効果的です。
●クレオソートと灯油 → 蛾を寄せ付けない
防腐剤のクレオソートと灯油を半々に混ぜてティッシュペーパーなどに沁み込ませ、空き缶などに入れて木に吊るしておくと蛾が寄り付かなくなります。
●タバコ → アブラムシ、アオムシの防除
タバコの吸い殻10本くらい、フィルターを外して葉をほぐし、水(1リットル)を加えて3時間くらいおいてから布で濾し、石鹸5gを溶かし入れて霧吹きで吹きかけると、アブラムシやアオムシを防除できます。
●ガムテープ → アリよけ
アリはアブラムシやカイガラムシを運んでくるので、バラの根元にガムテープの粘着面を表にして巻いておくと防げます。
ストッキングやゴミ取りネットなどを根元に巻いておいても、アリなどが這い上がってくるのを防げます。
●緑色の毛糸 → ゾウムシよけ
バラゾウムシの天敵であるハナグモのように見える、緑色の毛糸をバラの蕾の下に結んでおくと、バラゾウムシが寄ってこなくなります。結んだ先が1cmくらい、風にヒラヒラなびくくらいの長さがいいようです。
バラゾウムシは、他のゾウムシが噛んだ同じ蕾に集まってきて噛む習性があるので、噛まれた蕾はオトリとして放置しておき、産卵が終わった頃に被害にあった蕾だけ切り取って処分すれば、他の蕾に被害が及ぶのを防ぐことが出来ます。
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